犬はどのような動物か? ~食事と栄養

犬の知識

たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルといった栄養素は、活動するためのエネルギー源として使われたり、体を構成する成分となったり、体の機能を調整したりする働きがあります。犬は哺乳類の一種ですので、必要とする栄養素の種類は、人とほとんど同じですが、必要とする量は違います。また、人が食べて問題のない食べ物であっても、犬にとっては有毒な成分を含むものがありますので、注意が必要です。

1.必要とする栄養素量の違い

犬が必要とする栄養素の量を人の場合と比べると、以下のような特徴があります。
① 人より多くのたんぱく質が必要である。
② 脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、Eなど)も多く必要とする。
③ ビタミンCは、体の中で作り出すことができるため、必要としない。
④ ミネラル類では、カルシウム、リン、亜鉛、鉄などは、人より多く必要とする。
⑤ ナトリウム(食塩)は人の必要量の10分の一程度で良い。

塩分は摂りすぎると腎臓に負担をかけるので、調理した人の食べ物は与えないようにします。

カルシウムとリンは、どちらかを過剰に摂取するともう一方の吸収が阻害されてしまうため、バランスよく摂る必要があります。(カルシウム1に対して、リンは0.8~1程度が良い)

肉類、魚肉類は、それだけを与え続けるとカルシウムが不足してしまいます。カルシウムに対するリンの量も多いためバランスが悪く、低カルシウム血症となってしまうことがあります。

高齢になってくると活動量が減ってきますので、カロリーの摂りすぎによる肥満に注意が必要です。消化器官など体の機能も低下してきますので、消化の良いものを選ぶようにしましょう。

2.食べさせてはいけないもの

犬に食べさせてはいけないものとして、良く知られているのは、ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、ニラ、にんにくなど)です。赤血球を壊す成分(アリルプロピルジスルファイド)が含まれています。この成分は加熱されても中毒を起こします。ハンバーグなど様々な人の食事に使われていますので、注意が必要です。

その他、野菜や果物、ナッツ類などでは、アボガド、ぶどう、マカデミアナッツなど、菓子類では、チョコレートやココア、キシリトール入りのガムも中毒症状を起こします。

その他にも、人には問題なくても、犬に有害なものがありますので、食べさせる前に必ず調べるようにしてください。また、糖類は過剰摂取するとビタミンB1やカルシウムの欠乏症を起こすことがありますので、人のお菓子を与えることは控えたほうが無難です。

3.ドッグフードについて

ペットフード協会の調査によると、日本では現在、9割以上の家庭で市販のドッグフードが与えられているそうです。含まれている水分量によって、ドライフード、セミモイストフード(半生タイプ)、ウェットフードなどがありますが、なかでもドライフードが大半を占めています。

パッケージに「総合栄養食」と表示されているフードは、そのフードと水だけで、必要とする栄養がまかなえるように作られたもので、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験や給与試験をクリアしたものになります。

使用されている原材料や添加物は、ペットフード安全法によって、パッケージに表示することになっています。原則、使用量の多い順に分類名(肉類、穀類、ビタミン類など)か個別名(チキン、小麦、ビタミンB1など)で記載されています。

「ミートミール」や「チキンミール」といった名称が原材料として記載されていることがありますが、これは肉を加工する際に出た副産物から爪、毛などを取り除き加工したものです。(分類上は、肉類になります。)

4.おやつについて

主食として市販のフードを与えている場合、パッケージに記載されている給与量を目安として与えていると思いますが、この給与量は、体重ごとの1日当たりのエネルギー要求量をもとに決められています。ですから、おやつを与える場合は、与えた分だけ、フードを減らさないとカロリー過多になってしまいます。また、フードを減らしたとしても、おやつの与え過ぎは、食事の栄養バランスを崩してしまいます。

おやつを使ってトレーニングをする時などは、何回も与える必要が出てきますが、そのような場合は、1回の分量をできるだけ小さくすると良いでしょう。

5.手作り食を与える場合

手作り食は、飼い主さん自身で食材を選べるという安心感があります。一方で、健康を維持するために必要な栄養素の量やバランス、エネルギー量などについての知識が必要です。肉や魚などを使ってたんぱく質をしっかり摂るようにしますが、野菜や穀物など多くの食材を使うことで、ビタミン類やミネラル類も摂取します。食欲や便、体重、毛づやなどを見て、食事内容を調整することも大事です。

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