1.日本にいる犬の頭数は減少傾向
日本では、684万頭の犬が飼われています。(ペットフード協会2023年全国犬猫飼育実態調査)
7歳から12歳の子供の人数がおよそ610万人(人口推計2023年10月1日現在)ですので、小学生の人数より1割ほど多いくらいです。ちなみに猫は犬より多く、907万頭が飼われています。
犬を飼っている世帯の割合(世帯飼育率)は、2人以上の世帯では、11.6%(8~9世帯に1世帯の割合)ありますが、単身世帯ですと半分以下の5.2%(19世帯に1世帯)まで下がります。犬を飼いたくても、一人ではなかなか難しいという一面を表しているようです。
飼われている犬の数は減少傾向にあり、10年前(2013年)と比べると187万頭ほど減っています。(21.5%減) 厚生労働省の発表(衛生行政報告例)でも、犬の登録件数は2009年まで増加を続け、2009年から2011年頃をピークにそれ以降、減少が続いていますので、このピークの頃までに生まれた多くの犬が寿命を迎えることにより、減少傾向が顕著となっているようです。
今後も同じペースで減り続けるのかどうかについてですが、上述のペットフード協会の調査によると、過去10年間に新たに飼われた犬の数(新規飼育頭数)は、年ごとの多少の増減はあるものの、平均およそ37.5万頭(2023年は約40万頭。)を保っていることから、減少のペースはやや落ち着いてくるのではないかと思います。
それでも、共働きの家庭やマンションなどの集合住宅に住む人の増加、核家族化の傾向は進んでいますので、今後、新規飼育頭数の大きな増加は期待できず、高齢単身世帯の増加などにより、犬をむかえようと思っても飼い主自身の年齢や体力などの理由から飼養をあきらめるケースも増えるのではないかと思われます。
2.純血種の小型犬が多数を占める
飼われている犬の多くは純血種で、異なる純血種どうしから生まれた「ミックス犬」を含めると全体の87.9%になります。犬種別では、トイ・プードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフンド、柴犬が多く、これらの4犬種を合わせると全体の半数を占めます。
大きさ(体重)別では、10kg以下が全体の4分の3(75.3%)を占め、中型犬に相当する10kgから25kgまでは14.9%、大型犬に相当する25kg超は2.6%に過ぎません。10kg以下には、中・大型犬の子犬も含まれていますが、それを考慮しても、小型犬が圧倒的に多いことがわかります。
小型犬が多数を占める理由としては、中型犬以上の犬を飼える集合住宅が限られていること、小型犬のほうが大型犬よりも世話の負担が少ないと考えられていること、などが挙げられます。この傾向は今後も続くことでしょう。
3.長寿化
シニア期とされる7歳以上が全体の56%を占め、半数を超えています。16歳以上(小型犬の場合、人の年齢に換算すると80歳以上)の割合も6.0%あり、2019年の3.8%から増えています。
また、平均寿命は14.62歳で、2010年の平均寿命(13.87歳)から0.75歳ほど伸びています。
長寿化の背景には、動物医療の進歩に加え、飼い主の健康に対する意識の高まりや栄養価を考慮したフードの充実などがあると考えられます。長寿化は飼い主にとって喜ばしいことである反面、今後、疾病の多様化や介護を必要とするケースが増えることが予想されます。