4.避難行動 ~どこへ避難するか
地震が発生した際や大雨や洪水が予想される際は、テレビ、ラジオ、インターネットなどで情報を収集し、避難する必要があるか判断します。避難の際は、ペットを連れて同行避難するのが原則です。
ペットを連れて避難するには、ペットにリードを付けたり、キャリーバックに入れたりしなければなりませんので、早めの準備を心がけましょう。避難先までの避難そのものにも時間がかかりますので、自治体から「高齢者等避難」(高齢者のほか避難に時間を要する人が避難を開始する)が出された時点で避難を始めるつもりでいると良いでしょう。
避難先は、「避難場所」(災害発生時に学校·公園等のオープンスペースや施設を利用し、住民が生命や安全の確保を図るために避難する場所)または、「避難所」(住居が被害を受け、自宅での生活が困難となった被災者が一定期間、避難生活をするところ)、あるいは「自主避難所」(台風の接近や長時間降り続く雨で、洪水や土砂災害などの災害が発生する恐れがあるとき、事前に避難を希望する人を対象に一時的に開設される避難所)となります。
避難場所などへの避難後、災害の状況を確認し、避難生活を送る必要があるか判断します。避難生活を送る必要がある場合に備えて、予め、どこで避難生活を送るのが良いか考えておきましょう。
避難生活を送る場所というと、学校や近隣センターなど自治体が指定する避難所を思い浮かべるのではないかと思いますが、ペットの受け入れが可能な避難所であっても、必ずしもペットと同室で生活できるわけではない点は、理解しておいてください。ペットの飼育スペースを設け、人の生活スペースと分けられていることが多いと思いますので、お住まいの自治体の指定避難所におけるペットの受け入れ可否と飼育スペースについて(屋内か屋外かについても)、確認しておきましょう。
避難生活は、人だけでなく、ペットにも大きなストレスがかかるものです。ストレスが原因で、ペットが体調を崩すこともあります。その点では、自宅の安全が確認できるのであれば、避難所よりも自宅で在宅避難をするほうが、ストレスの軽減を期待できます。
ちなみに柏市の場合、市内の耐震化が90パーセント以上まで進んでいることもあり、自宅の安全が確保できるのであれば、在宅避難を勧めています。
それでも被災状況によっては、在宅避難ができないこともありますので、避難所に加えて、車中泊(車避難)やペットを動物病院やペットホテル、親戚や知人宅にあずけるなど、ペットの飼育環境を確保するための様々な選択肢を検討しておくことが大切です。
5.災害が発生した時のシミュレーション ~本番で困らないために
災害はどんな時にでも起こりうるものです。家にいるとき、飼い主が外出し、ペットだけが家にいるとき、あるいはペットと一緒に散歩しているときなど、ご自分の生活パターンのなかで、さまざまなケースを想定してどのように行動すべきか計画を立てておくことが肝心です。家族間の役割分担や、ひとりで避難する場合の行動計画も考えておきましょう。避難先までの経路に、液状化・津波・土砂災害などの危険がないか、ハザードマップなどで確認しておくことも大事です。
実行可能な行動計画をたてるためにも、災害が発生してから、避難するまでの行動をシミュレーションし、実際に避難先まで避難袋とペットを連れて(あるいはキャリーケースに入れて)歩いてみましょう。とくに多頭飼育の家庭では、ペットを連れていくのに人手がいりますし、持ち出し品の量も増えますので、体験してみることで、どの程度大変か実感することができるはずです。マンションであれば、実際に階段で降りてみましょう。
実際にやってみることにより、
– 避難の準備にどれくらい時間がかかるか?
– 避難袋の保管場所は適切か?
– 荷物は運べる分量か?
– 避難先までのルートは最適か?
など、具体的な観点から課題が見えてくるはずですので、改善点があれば、行動計画に反映させます。
6.災害からペットを守るために ~日ごろからできること
災害対策では、「自助」「共助」「公助」がキーワードとされていますが、大きな災害が発生すると、行政機関などによる支援(公助)が始まるまでの間、自助や共助によって乗り越えなければなりません。
ここまで書いてきた備えは、自助にあたりますが、災害から身を守るうえでは、近隣で助け合う「共助」も欠かせません。そのためには、日ごろから、近隣で良い関係を築いておくことが大切なことは言うまでもありません。また、飼い主同士でいざというときに支え合えるネットワークをつくっておくことも、有効な手立てとなります。
そして何よりも、日ごろからのペットへのしつけと健康管理は、近隣との良い関係を築くうえでも、災害発生時にすみやかな避難行動をとるうえでも、そして、少しでも安心して避難生活を送るうえでも、大きな助けとなるはずです。